
壊れているのは、私か貴方か――
2人で1人を演じる、二重人格マーダーミステリー!
今回はパッケージ型マーダーミステリー『カルネアデスの陰影』について、ネタバレなしでレビューします。
このシナリオのあらすじ・遊び方、実際に遊んだ感想や評価について綴ります。いまプレイ検討中のあなたに参考になれば幸いです!
シナリオ概要
引用:【BOOTH】カルネアデスの陰影
| プレイ人数 | 4~8人(GM不要) |
| プレイ時間 | 180分 |
| プレイ環境 | オフライン |
| 対象年齢 | 15歳~ |
| ジャンル | マーダーミステリー |
| 発売時期 | 2021/4/10 |
| 版元 | newmerous |
『カルネアデスの陰影』は、人為的に創られた二重人格者たちの悲劇を描いたペアマーダーミステリー作品です。
2人1組となり二重人格の人物を演じ、かけがえのない人を失った悲しき事件の謎を紐解きます。
プレイ人数は4人~8人までと幅広く、GMなし・オフラインで遊べるシナリオです。
あらすじ
「シュピネッツ計画」――二重人格者を人為的に創り、通常の二倍の性能を持つ超人を生み出す国家プロジェクト。
狂気のプロジェクトが始動してから半世紀が経過し、ようやく成功の兆しが見えてきました。
貴方たちは二重人格者、すなわちこのプロジェクトの”成功者”です。
同じ境遇で生き、強い絆で結ばれた貴方たちは、国の救世主として活躍を期待され、様々な分野で成果を上げていました。
そんな折、あるきっかけで久しぶりに集まった貴方たちは、再会を喜び、互いの近況を語り合う楽しいひとときを過ごします。
しかし、幸せな時間は束の間、ある悲しい事件が起こってしまうのでした。
登場人物紹介
事件の当事者となってしまった4名の人物、その中に潜む8名の人格たちをご紹介します。
セザール・カーライラ(男性/40歳)

- 方面軍司令官の表人格
- 一人称は「小官」
- 冷静で慎重な性格
クイック・カーライラ(男性/40歳)

- 方面軍司令官の裏人格
- 一人称は「俺」
- 秘密国家プロジェクト「シュピネッツ計画」により誕生
- 勇敢だが話好きで隠し事が苦手
- 義理と人情を重んじている
- 仲間内では表人格のセザールとは親友のようだと言われている
ディアナ・ダルモール(女性/36歳)

- 政治家・大臣の表人格
- 一人称は「わたくし」
- 気が強くて決断力があり少々短気
ロマネ・ダルモール(女性/36歳)

- 政治家・大臣の裏人格
- 一人称は「わたくし」
- 秘密国家プロジェクト「シュピネッツ計画」により誕生
- 物腰柔らかで落ち着きがある
- 気配りが上手で根回しが得意
- 仲間内から表人格のディアナとは親友のようだと言われている
ベアトリス・ブラックラック(女性/32歳)

- 国営ラジオ局局長の表人格
- 一人称は「アタシ」
- 物静かで勉強と一人でいることが好き
ピクシー・ブラックラック(女性/32歳)

- 国営ラジオ局局長の裏人格
- 一人称は「アタシ」
- 秘密国家プロジェクト「シュピネッツ計画」により誕生
- 元気で甘え上手
- 表現力が高く人と仲良くなるのが得意
- 仲間内では表人格のベアトリスといつも言い合いしているように思われている
アーロン・アルドベッグ(男性/34歳)

- 有力財閥当主の表人格
- 一人称は「僕」
- 孤児であったが前当主の養子となった
- 明るく直感を大事にするタイプ
- 減らず口を叩くのは昔から
オスカー・アルドベッグ(男性/34歳)

- 有力財閥当主の裏人格
- 一人称は「私」
- 秘密国家プロジェクト「シュピネッツ計画」により誕生
- 真面目で几帳面
- 管理能力や分析能力に優れている
- 仲間内では表人格のアーロンの保護者のような役割となっている
遊び方/ルール
- ストーリー紹介
- キャラクター選択
- ゲームの準備
- プロローグ(20分)
- 第一幕(20分)
- 第二幕(20分)
- 第三幕(40分)
- 終幕(1分×PL人数)
- 結末
本作品最大の特徴は、二人一役の“二重人格システム”です。
2人で1人の人間を演じるのか、はたまた1人で2人の人格を演じるのかは、プレイ人数により異なりますが、2人で1人の人間を演じる場合、調査や議論、密談の際は必ず行動を共にすることになります。
本シナリオには密談があるため、ゆとりのある空間でプレイすることをおすすめします。
ゲームの流れと遊び方について、後述でもう少し詳しく解説しましょう。
ストーリー紹介
GM(または代表者)がルールブックの「ストーリー背景」を読み上げます。
以後、ルールブックを基に、GMがいる場合はGMが、いない場合は代表者1名がゲームの進行を管理します。
キャラクター選択
各プレイヤーは演じる担当キャラクターを選択します。
プレイ人数が5人~7人の場合は、下記の手順でキャラクターを選択します。
- 最初に各キャラクターの表人格プレイヤーを決定
- 残ったプレイヤーで各キャラクターの裏人格プレイヤーを決定
その後、各自担当するキャラクターのシナリオブックと、読み合わせブックを1部ずつ受け取ります。
※1人の人物を1人で演じる場合、各幕の最初に確認する「秘密の行動カード」から裏人格の隠した情報を少しずつ手に入れることができます。

ゲームの準備
GM(または代表者)は、手がかりカードを準備します。
裏面のままカードの種類ごとにシャッフルし、6種類の山札を作ります。カードに記載されている場所が調査場所となります。
1人の人物を1人で演じるプレイヤーがいる場合、そのキャラクターの秘密の行動カードをそのプレイヤーの前に裏向きで並べます。


プロローグ(20分)
各自キャラクターシナリオブックの「背景」を5分程度で黙読します。
全員が読み終えた後、読み合わせブックを開き「プロローグ」の読み合わせを行います。
その後、各自キャラクターシナリオブックの「当日の動き」を10分程度で黙読します。
第一幕(20分)
第一幕では、以下の内容を行います。
- 読み合わせブック「第一幕」の読み合わせ
- 「第一幕のみ」表記の秘密の行動カード1枚確認(1人の人物を1人で演じるプレイヤーのみ)
- 全員で調査&議論(20分間)
調査
本作では、事件の手がかりを集めるため、プレイヤー間で調査する場所を決めて、その場所の手がかりカードを引いていきます。
各幕で調査できる場所は2か所です。
- 各プレイヤーは調査したい場所を1か所選ぶ(1か所目)
- 調査場所が決まったら各プレイヤーはその場所の手がかりカードを引いて中身を確認する
※引ける枚数は人物ごとに1枚で、プレイヤーごとではない点に注意(二人一役の場合は手がかりカードを共有すること) - カードの確認完了後、各プレイヤーは調査したい場所を1か所選ぶ(2か所目)
- 調査場所が決まったら各プレイヤーはその場所の手がかりカードを引いて中身を確認する
各調査場所には手がかりカードが5枚ずつあり、一度調査した場所を再び調査することはできないため、通常1枚場に余ります。
この余ったカードを引くためには表人格プレイヤーの能力(後述)を使用する必要があります。
また、手がかりカードの所有権限は二人一役の場合キャラクターで共有している状態ですが、公開・譲渡は基本的に表人格プレイヤーの判断で行います。
ただし、裏人格プレイヤーの能力(後述)があるため、公開・譲渡の前には都度、裏人格プレイヤーに確認をとりましょう。
能力について
各プレイヤーは手がかりカードに関する能力を1つ持ち、ゲーム中1回のみ使用することができます。
表人格プレイヤーと裏人格プレイヤーで別の能力を保有しています。(1人の人物を1人で演じている場合は表人格の能力のみ使用可能です)
議論
二人一役の場合、終始行動を共にします。
密談は2人の人物(二人一役の人物×2人が密談する場合は合計4人のプレイヤー)まで行うことができます。
二人一役の人物内での密談も可能です。(これを脳内会議といいます)
第二幕(20分)
第二幕では、以下の内容を行います。
- 読み合わせブック「第二幕」の読み合わせ
- 「第二幕以降」表記の秘密の行動カード1枚確認(1人の人物を1人で演じるプレイヤーのみ)
- 全員で調査&議論(20分間)
調査&議論のルールについては、第一幕と同様です。
第三幕(40分)
第三幕では、以下の内容を行います。
- 「第二幕以降」表記の秘密の行動カード1枚確認(1人の人物を1人で演じるプレイヤーのみ)
- 全員で調査&議論(40分間)
調査&議論のルールについては、第一幕と同様です。
終幕(1分+1分×PL人数)
終幕では、以下の内容を行います。
- 誰が犯人かを推理・各自で考えをまとめる(1分間)
- 各プレイヤーは自分の推理を発表(各自1分)
- 投票
各プレイヤーは誰が犯人なのかの推理を発表します。(質疑応答はなし)
全員の推理発表終了後、誰が犯人かを投票します。
犯人だと思うキャラクターの”表人格”に投票します。
二人一役のプレイヤーは、表人格プレイヤーが代表して犯人を投票します。(場合によっては1分程度の相談時間を設けてもOK)
単独で最多票を集めた人物が、この物語の犯人となります。
もし最多票が複数人いる場合は再投票を行います。(再投票が完了するまで相談などはなしです)
犯人が決定、もしくは決定しなかった場合でも、次の結末フェイズに移ります。
結末
このゲームのエンディングはマルチエンディングで、「全体エンディング」と「個人エンディング」が存在します。
エンディングシナリオブックを基に、分岐条件を確認して処理していきましょう。
目標達成・未達成にかかわらず、『カルネアデスの陰影』の物語を楽しんだ人が大優勝です◎
評価と感想
わたしが本シナリオを遊んだときの条件は、下記の通りです。
評価
“二人で一人を演じる”新感覚!二重人格システムが光る、革新的マーダーミステリー!!
| 推理難易度 | ロールプレイの楽しさ | 世界観没入度 | 感情揺さぶられ度 |
| ⭐⭐⭐⭐☆ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐☆ | ⭐⭐⭐☆☆ |
本作最大の特徴は、なんといっても「二重人格システム」!
プレイヤーが2人1組でひとつのキャラクターを担当するという、他ではなかなかお目にかかれない斬新な仕組みです。
この”ニコイチ行動”がとにかく面白く、協力しながらの推理やロールプレイが新鮮で、プレイ中ずっとワクワクさせられました。
また、設定された一人称やキャラクター視点での読み合わせが用意されており、自然と物語に没入できる構成になっているのも嬉しいポイント。
推理要素もきちんと組み込まれているため、遊びごたえも十分です。
さらに注目したいのは、4人から8人までという柔軟なプレイ人数。
人数調整がしやすく、立卓のハードルが低いのも本作の強みです。
とはいえ、“二人一役”の醍醐味を最大限に楽しむなら、やはり8人でのフルプレイを強くおすすめします◎
「普通のマダミスは一通り遊んだかも」と感じている経験者の方にこそ刺さる、革新的な一作。ちょっとクセになる体験が、あなたを待っています。
難易度
難易度は『普通』です。
ハンドアウトのテキスト量はやや多めですが、読み合わせを挟みながら少しずつシナリオを読み進めていくシステムなので、設定を咀嚼しながらインプットすることができました。
また、難解なルールなどもないため、GMレスでもスムーズに、難なくプレイすることができました!
ただ、公式ではGM推奨とのことですので、初心者の方が多い卓ではGMを立てた方が安心かもしれません。
感想
2人1組だからこそ味わえる安心感と楽しさ◎8人フル通過で真価を発揮するマダミス!
「これはぜひ8人で遊んでほしい!」そう感じたマーダーミステリー体験でした。
2人1組で行動する“二重人格システム”が採用されているこのシナリオ、ひとりじゃないという安心感とチームならではの一体感が最高◎
いつもは推理のプレッシャーで心が折れそうになるわたしも、今回は相棒と一緒だからこそ、のびのび自由にロールプレイすることができました。笑
また、シナリオの完成度の高さに加え、通過後に読めるコメンタリーブック(解説書)の存在も見逃せません。
推理の裏側や物語の構造、さらには同作者による別作品『ダモクレスの旗印』との関連についてまで言及されていて、制作者の熱意とプレイヤーへの思いやりが詰まっています◎
補足資料とはいえ、読めば読むほど「奥が深い!」と感じさせてくれる内容なので、通過済みの方はぜひ読んでみてほしいです!
※ただし、あくまで補足資料的な位置づけ&ネタバレ前提の内容なので、未通過の方は先にプレイを楽しんでから読んでみてくださいね!
>>> 【BOOTH】カルネアデスの陰影 コメンタリーブックDLページ
まとめ
今回はパッケージ型マーダーミステリー『カルネアデスの陰影』についてレビューしました。
“二重人格システム”が斬新でプレイ人数の幅の広さが魅力のシナリオでした◎
このブログでは、実際にわたしが遊んでみて面白かったシナリオ紹介など、マダミスを中心にアナログゲームのまとめ記事を発信しています。
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