
五感で暴け、真実を──!
“物”が語るマーダーミステリー!!
今回はオブジェクティブマーダーミステリー『楽園酒店(パライソホテル)』について、ネタバレなしでレビューします。
本作品のあらすじや遊び方・ルール、登場キャラクター、実際に遊んだ感想・評価についてご紹介します。これからプレイする予定のあなたにとってタメになる情報がご提供できれば幸いです!
シナリオ概要
| プレイ人数 | 4人(GM不要) |
| プレイ時間 | 150分 |
| プレイ環境 | オフライン |
| 対象年齢 | 15歳~ |
| ジャンル | マーダーミステリー |
| 発売時期 | 2023/5/25 |
| デザイナー | 田中佳祐 |
| サイズ | 27 x 20 x 3 cm |
| 版元 | Mystery Knives/双子のライオン堂 |
『楽園酒店(パライソホテル)』は、双子のライオン堂から発売されているパッケージ型マーダーミステリーで、マフィアの世界を描いたシナリオです。
本作品最大の特徴は、調査カードがないところです。
その代わり、証拠品を模した物品(アイテム)があり、これらを目にして、実際に触って調べることで、事件捜査を視覚と触覚を起点に推理する臨場感があるシステムになっています。
オフライン・GMなしでプレイすることが可能な4人で遊べるシナリオです。
あらすじ
大きな戦争が終わり、次の大きな戦争が始まろうとしていた時代、「楽園」と呼ばれる島がありました。
それは、アジアのどこかにある地図にはない島――正確にはどの国も地図に書いていけない島でした。
軍事的に重要な位置づけとなるこの島は、どの国も所有したい島であり、すべての国を敵に回してしまうことから、どの国も所有したくない島でした。
各国の政府はこの島を表向きは”無いもの”として扱っていましたが、多くの国では無所属の傭兵を雇い、水面下で島をコントロールしようとしていました。
各国が依頼していた傭兵たちが、マフィアコミュニティに属する者たちであることに気づいた頃には、取り返しのつかない混沌とした政治的爆弾と化してしまっていたのでした。
こうして、島は「(マフィアたちの)楽園」と呼ばれるようになったのです。
この島を管理していたのは、髪を長く伸ばしたつかみどころのない、アジア系と思しき老人でした。
彼は、「自分を殺し、それを証明した者にこの島の支配権を譲る」と言うのです。
今日は彼が唯一人前に姿を現す5年に一度のオークションの日、それぞれの思惑を胸に4人の悪人たちは「楽園」へと向かうのでした。
登場人物紹介
オークションに参加する4つの組織を代表する悪人たちをご紹介します。
紫宗房(40歳/男性)

- 決して全貌を明かさない日本のヤクザ・塩川組所属
アレッサンドロ・トチーノ(43歳/男性)

- イタリア南部の港を仕切る残忍なラトス・ファミリー所属
レオ・ウィリアムズ(24歳/男性)

- イギリスの凶暴な若者を率いるスプリング・ギャング所属
フェイ・リョン(28歳/女性)

- 各国政府とのパイプをもつ中国マフィア・大青会所属
遊び方/ルール
- ゲームのルール確認と準備(10分)
- ハンドアウトの読み込み(5分)
- 物語の始まりの読み上げ(2分)
- キャラクター自己紹介(5分)
- アクションフェイズ1:オークション(5分)
- 推理フェイズ1の準備(10分)
- 推理フェイズ1(30分)
- 推理フェイズ2の準備(5分)
- 推理フェイズ2(40分)
- 投票フェイズ(10分)
- エンディング(10分)
- アクションフェイズ2:???(10分)
- 事件の真相説明など(10分)
本作品は、事件調査の際にカードではなく、事件現場に残された証拠品(物品)をもとに推理を進めて事件解決を目指すシナリオです。
証拠品のアイテムを実際に見て、触れて、感じることで事件の臨場感・リアリティを体験することができるミステリーになっています。
引用元:https://booth.pm/ja/items/4715156
遊び方やルールについて、後述にてもう少し詳細を説明します。
ゲームのルール確認と準備(10分)
このゲームでは、フェイズごとに説明書やハンドアウトを指示のあるページまで確認しながら進行していきます。
フェイズが進むにつれて新しいページを読み進んでいくことになりますので、設定書等に記載された指示を見逃さないようご注意ください。
ゲーム中、すでに読んだページは自由に戻り都度確認することが可能です。
ゲームの準備としては、主に下記を行います。説明書を元に準備が完了したら次のフェイズに進みます。
- 道具の準備
- 担当キャラクターの決定
ハンドアウトの読み込み(5分)
このゲームでは、ハンドアウトの中身をフェイズごとに確認していきます。
ハンドアウトを読む際には他のプレイヤーに見られないよう気を付けましょう。
ハンドアウト確認後、自分が担当するキャラクターの「入札カード」の内容を確認します。
「入札カード」の扱いについては、ハンドアウトに記載がありますので各自確認をしましょう。

物語の始まりの読み上げ(2分)
説明書に書かれた「物語の始まり」を代表者1名が読み上げます。
キャラクター自己紹介(5分)
1人ずつ自分が担当するキャラクターになりきって自己紹介を行います。
自分の名前、所属、年齢、性別などを織り込んで伝えるとイメージしやすいかと思います。
アクションフェイズ1:オークション(5分)
各自のハンドアウトに指示された通りにアクションを行います。
推理フェイズ1の準備(10分)
説明書の指示された箇所を読み上げます。記載されている指示に従って準備を進めましょう。
ここで、キャラクターたちの当日の行動などが明らかになります。
推理フェイズ1(30分)
準備完了後、本格的な捜査のスタートです!
ここからはハンドアウトやすでに公開された情報をもとに自由に会話をして推理を進めていきましょう。
推理フェイズ2の準備(5分)
説明書の指示された箇所を読み上げます。記載されている指示に従って準備を進めましょう。
ここで、新しく証拠品や情報が追加されます。
推理フェイズ2(40分)
準備完了後、新たに捜査が始まります!
新たに知った情報や証拠品をもとに自由に会話をして推理を進めていきましょう。
投票フェイズ(10分)
今回の事件の犯人だと思う人物に投票します。投票フェイズの流れは次の通りです。
- 1人ずつ推理発表(1分×4人)
- 「せーの」の合図で犯人だと思うプレイヤーに指さし投票
最多票が2人以上いた場合は以下の流れで決選投票を行います。
- 最多票得票者全員が1人ずつ各1分間で言い訳を行う
- その後最多票以外のプレイヤーで制限時間3分の話し合い
- 最多票以外のプレイヤーだけで再び投票を実施
- それでも決まらない場合はじゃんけんなどランダムな方法で犯人を決定する
エンディング(10分)
投票フェイズが終わったら、エンディングブックを開き中身を確認します。
アクションフェイズ2:???(10分)
エンディングの後、何かがあるかも、、、?
エンディングブックに説明があるので、指示に従い進めていきましょう。
事件の真相説明など(10分)
最後に得点計算や、各キャラクターが抱えていた秘密、事件の真相について話しましょう。
最も得点の高いプレイヤーや良かったシーン・描写、立ち回りなど、お互いの健闘を称え合いましょう!
評価と感想
わたしが本作を遊んだときの条件は、下記の通りです。
評価
見て、触れて、感じる証拠品が秀逸!視覚と触覚で楽しむ”裏”の世界のミステリー!!
| 推理難易度 | ロールプレイの楽しさ | 世界観没入度 | 感情揺さぶられ度 |
| ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐⭐☆ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐☆☆ |
マーダーミステリーは、基本的にカードに記された証言・証拠をもとにプレイヤーが推理するゲームです。
しかし、本作では証拠が”説明されるもの”ではなく、”目で見て、手で触れるもの”として現れ、マダミスの常識が覆されています!
想像の補助とした単なる小道具ではなく、まさに推理の「核」となる実物資料であり、触れた瞬間に思考を促す”リアル”を感じられます。
視覚と触覚を駆使して情報を読み解くというプロセスが、従来のマダミスにない臨場感と高揚感をもたらしてくれます◎
そして物語の舞台は”マフィアたちの楽園”——。
この言葉だけで、そこがただの殺人現場ではなく、倫理の境界線が曖昧になった場所であることが伝わってきます。
ハードボイルドな空気、非日常の緊張感、その中で突きつけられる物証の数々が、一瞬たりともわたしたちの気を緩めさせません。
本作は、初心者・経験者問わずロールプレイと世界観をしっかりと楽しめる設計ですが、システムとしては挑戦的。
そのため、”とりあえずマダミスをやってみたい”という初心者よりも、”もっと新しいマダミスの形を味わってみたい”という経験者にこそおすすめしたい作品です。
物語が語るだけでなく、「物が語る」ミステリー。
マーダーミステリーというジャンルの新たな可能性を感じさせてくれる一本でした◎
難易度
難易度は『普通』です。
ハンドアウトのテキスト量としては多くもなく少なくもなく、主観的な意見で恐縮ですが適度な量だったように感じます。
個人的には時系列・目標・情報が文章のみならず見やすく改めてまとめられているところに魅力を感じました。ホスピタリティに感謝です。
感想
おしゃれでスリリング!証拠が“物”として存在する、心を掴まれるミステリー体験◎
このシナリオ、最初に手に取った瞬間からただ者じゃない感が漂っていました。というのも、とにかくデザインが圧倒的におしゃれ!!
パッケージだけで「これは絶対当たりだ」と確信。笑
ハンドアウトや証拠品のビジュアルまで抜かりなく、センスの塊。正直、眩しすぎて直視できないくらいでした◎
そして、見た目だけで終わらないのがこの作品の魅力。
実際に”物”として証拠が存在するという体験は、想像以上にテンションが上がります。
手に取ることでわかる質感や形状が、ただの小道具ではなく「物語の一部」として心に残る。
プレイ前から気持ちが高まるし、プレイ中も没入感が段違いでした。
ハードボイルドな世界観も個人的にツボで、ストーリー自体の面白さも相まって、プレイ後の満足感がとても高かったです。
プレイヤー人数は4人と少なめで、それが逆に濃密な議論を生み出していて、「誰が犯人か?」という疑心暗鬼が最後の最後まで白熱しました。
美しいデザイン、実在感のある証拠、そして緊張感のあるストーリー展開!
すべてが融合したこのシナリオ、間違いなく”心を奪われる”マダミスでした。
まとめ
今回はオブジェクティブマーダーミステリー『楽園酒店(パライソホテル)』についてレビューしました。
証拠が実際の”物”(オブジェクト)として存在することで、視覚と触覚を起点に推理が捗るシナリオでした!
当ブログでは、他にも4人で遊べるおすすめシナリオや、面白いパッケージ型マダミス紹介など、数多くのマダミスに纏わる情報を綴っています。
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