
イエスが殺された!?
――最後の晩餐で裏切り者を探すマーダーミステリー。
今回はオンライン・オフラインプレイ可能なマーダーミステリー『最後の晩餐の殺人』について、ネタバレなしでレビューします。
遊び方や物語のあらすじ、登場キャラクター、実際にプレイしてみた感想・評価について綴ります。本記事がプレイ検討中の方の参考になれば幸いです!
シナリオ概要
引用:https://booth.pm/ja/items/2527834
| プレイ人数 | 5人(GM不要) |
| プレイ時間 | 120分 |
| プレイ環境 | オンライン/オフライン |
| 対象年齢 | 15歳~ |
| ジャンル | マーダーミステリー |
| 発売時期 | 2020/11/14 |
| デザイナー | 中村誠 |
| 発行元 | いのフェス実行委員会 |
『最後の晩餐の殺人』は、イエスを裏切った犯人を突き止めるインパクト抜群のマーダーミステリーです。
聖書に書かれている人物(ペトロ、ヨハネ、イスカリオテのユダ、小ヤコブ、マグダラのマリア)のうち1人を担当し、イエスを殺した犯人を推理します。
オンライン・オフラインどちらでもお好きな環境でプレイすることができますが、いずれの場合もパッケージの購入が必要となります。
※物語はフィクションです。宗教的にセンシティブな内容を含むため、プレイの際は慎重にご検討ください。
あらすじ

キリスト教がまだ影も形もなかった時代。
大工の息子として生まれたイエスは、神の声に導かれ、各地を巡って教えを説く旅に出る。
その道中で12人の弟子――十二使徒と出会い、共に教えを広めながら、ついにエルサレムの地へ足を踏み入れる。
だが、その街には彼を疎ましく思う者たちが潜み、密かに捕らえて処刑しようと企んでいた。
時は過越の祭りの最中。
イエスたちは晩餐をとるため一軒の宿屋を見つけ、その2階で食卓を囲む。
しかしその席でイエスは突然告げた――「この中のひとりが、私を裏切ろうとしている」。
そして名指しされたのは、イスカリオテのユダ。
晩餐が終わり、夜も更けたころ。
弟子のひとりヨハネがイエスの部屋を訪ねると、そこには胸を深く刺され、血に染まったイエスの姿があった。
すでに息はなく、その魂は静かに旅立っていた――。
登場人物紹介
この物語の登場キャラクターたち5名についての紹介です。
ペトロ

- 十二使徒のリーダー
- 熱くなりやすく愚かなところがある
- イエスを尊敬して誰よりも教えを理解しようと努めている
- “ペトロ”はイエスより授かったあだ名で本名はシモン
- イエスより天の国の鍵を授けられる
- のちの初代ローマ教皇
ヨハネ

- 十二使徒の1人
- イエスの教えを誰よりも理解している
- イエスを愛し、イエスに愛されている
- 後に新約聖書「ヨハネによる福音書」を記すことになる福音記者
- その中で自らを「イエスの愛しておられた弟子」と表している
イスカリオテのユダ

- 十二使徒の1人
- 一行の会計係
- 真偽不明だが最後の晩餐の席でイエスから裏切者と指摘された
- レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」では銀貨30枚が入った袋を手にしている
- イエスを裏切って手に入れたものと言われている
小ヤコブ

- 十二使徒の1人
- “ゼベダイの子ヤコブ”と区別するため”小ヤコブ”または”アルファイの子ヤコブ”と呼ばれている
- 十二使徒には2人のヤコブがいた
- イエスの兄弟だという説もあればイエスの叔父クロパの息子という説もある
マグダラのマリア

- イエスと出会いイエスに罪を赦されたことで信仰に目覚める
- イエスや十二使徒とともにエルサレムまでやってきた
- 「罪深き女」として聖書に登場するがその罪が何なのかは明らかでない
- イエスの復活を最初に見届け、十二使徒たちに知らせることになる
遊び方/ルール
- オープニング(10分)
- 証言1
- 議論1(10分)
- 証言2
- 議論2(10分)
- 告白
- 推理発表(1人1分)
- 最終議論(5分)
- 投票
- ゲツセマネの祈り(5分)
- 意見発表(1人1分)
- ゲツセマネの議論(10分)
- 最後の選択
- 決断
- エンディング
本作は、聖書に書かれた物語や人物、出来事を題材にしたマーダーミステリー(フィクション)です。
実際のものとは記述や解釈が異なる部分もありますが、実在の宗教や学説などを否定するものではなく、歴史に親しみを感じ、ざっくりと学ぶことができる作品となっています。
本作品はゲーム中、密談はありませんので、別途密談用のスペースを設ける必要はありません。
それでは、ゲームのルール・遊び方の詳細について、もう少し詳しく解説していきます。
オープニング(10分)
ゲームのオープニングです。このフェイズでは、主に以下を実施します。
- ストーリーの読み上げ
- キャラクターシートの選択(先述でご紹介した5名の人物から好きなキャラクターを選択する)
- キャラクターシートの読み込み(各自キャラクターシートの内容を制限時間10分で黙読する)
- 自己紹介(ペトロから時計回りの順でキャラクターシートの”自己紹介”を読み上げる)
証言1
1人ずつ各自キャラクターシートの”証言1”を読み上げます。
議論1(10分)
全員でイエスを殺した犯人について議論をします。制限時間は10分です。
- 全員に聞こえる声で話す(密談NG)
- 議論中は全員嘘をついてもよい
- キャラクターシートの内容をそのまま読むのではなくキャラクターになりきり自分の言葉で伝えること
- キャラクターシートの”秘密”・”使命”や”公開しないこと”と記載された内容は公開してはならない
証言2
1人ずつ各自キャラクターシートの”証言2”を読み上げます。
議論2(10分)
議論1と同様に全員で議論を行います。
告白
それぞれが「秘密を告白させたい」と思う人物を決め、全員で同時にそのプレイヤーを指さします。(誰を指名するかの議論は禁止)
1人以上から指さされたプレイヤーは、キャラクターシートの”告白”を読み上げます。
ただし、全員が1人ずつから指さされた場合(全員が別の人物を指名した場合)は、誰も”告白”を行いません。
推理発表(1人1分)
1人ずつ「イエスを殺した犯人は誰か」「そう考えた理由」について推理を発表します。
- 制限時間は1人1分
- 発表している人以外は口をはさんではいけない
- 後の投票フェイズにて本フェイズで挙げた人物とは別の人物に投票してもよい
最終議論(5分)
“推理”を受けて質疑応答や反論などを含め、全員で議論します。制限時間は5分です。
投票
全員で同時に「イエスを殺した犯人」だと思うプレイヤーを指さします。
- 最多得票者の1人が犯人として拘束される
- 2人が2票ずつの場合はそれ以外に投票した1人がどちらを拘束するか決める
- 全員が1票ずつの場合は再度投票を行い再度1票ずつだった場合は誰も拘束されない
- 拘束された者も今後の議論や決断に参加できる(ただし行動制限される可能性あり)
ゲツセマネの祈り(5分)
全員が表紙に自分の担当キャラクター名が書かれたゲツセマネシートを受け取り開きます。
以降の進行は、ゲツセマネシートの”これからの進行”に記載されているため、それに従いましょう。
意見発表(1人1分)
各人が1人1分で自分の意見を話します。
ゲツセマネの議論(10分)
全員で議論を行います。
最後の選択
最後の選択を行います。何をどうするかについては、ゲツセマネシートをご確認ください。
決断
2つの選択の1つに投票を行います。
エンディング
投票結果とキャラクターの行動などを基に、エンディングを決定し読み上げます。
最後に物語の真相や各自が抱えていた秘密などを共有し、感想戦で盛り上がりましょう!
評価と感想
わたしが本作品を遊んだときの条件は、下記の通りです。
評価
当時の人物になりきり、歴史を動かす醍醐味を味わえる一作!!
| 推理難易度 | ロールプレイの楽しさ | 世界観没入度 | 感情揺さぶられ度 |
| ⭐⭐☆☆☆ | ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐⭐☆ | ⭐⭐☆☆☆ |
本シナリオは、推理や情緒的な没入感よりも、プレイヤーがその時代の人物としてロールプレイを楽しみ、世界観に浸ることを主眼に置いています。
序盤はやや軽めの展開に感じられますが、終盤にかけて「この作品ならでは」の仕掛けがじわじわ効き、終わってみればしっかりと満足感を残してくれます。
特筆すべきは、自分たちの選択がまるで歴史を変えてしまうかのような感覚を味わえる点です。
随所に盛り込まれた学説や史実に基づくトリビアも、知的好奇心をくすぐるスパイスになっています。
シナリオ構造自体はシンプルで、複雑な推理や情報整理が必要ないため、マーダーミステリー初心者にとっても取っつきやすい作品と言えるでしょう。
歴史ロマンとロールプレイの楽しさを両立した、稀有なシナリオです。
難易度
難易度は「やさしめ」です。
キャラクターシートのテキスト量など、総合的な情報量は少なめの印象です。
感想
センシティブだけど面白い!歴史をざっくり学べるフィクションとして素敵な作品でした!!
正直、わたしは歴史や宗教に関して深い知識があるわけではなく、「名前だけ聞いたことあるかも?」程度のふんわりした理解からのスタートでした。
そんな状態でも、作中のTIPSや背景説明がしっかり用意されていて、本作品ならではの展開も相まって、気づけば夢中でプレイ。
思わず前のめりになってしまったのは、きっとわたしだけじゃないはずです。笑
史実通りではなく、あくまでフィクションとして描かれているとはいえ、宗教をテーマに扱ったゲームなので、人によっては受け取り方が分かれる題材かもしれません。
しかしその分、自分たちの選択や行動が歴史を変えていくような独自の没入感があり、わたしにとってはとても心地よい体験でした。
こういう“遊びながら学べる感覚”を持ったシナリオは、もっと広まってほしいなと感じます。
まとめ
今回は聖書をテーマにしたマーダーミステリー『最後の晩餐の殺人』についてレビューしました。
センシティブな題材かつフィクションではあるものの、歴史をざっくり学べて本作品ならではの展開や面白さがぎゅっと詰まった楽しいマダミスでした!
当ブログでは、ほかにも5人で遊べるGMレス可能なおすすめシナリオ紹介など、わたしの経験をもとにマダミスに関する記事を公開しています。
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