
オンラインでもオフラインでもOK◎
1つのパッケージで2作楽しむ!王道マーダーミステリー!!
今回はオンライン・オフラインともにプレイ可能な2本立てシナリオのパッケージ型マーダーミステリー『西洋鎧の鳴る館』について、ネタバレなしでレビューしていきます!
シナリオのあらすじや遊び方、登場キャラクター、感想・評価についてもご紹介しますので、本作が気になっているあなたの参考になれば幸いです。
シナリオ概要
| プレイ人数 | 3~4人(GM不要) |
| プレイ時間 | ~150分 |
| プレイ環境 | オンライン/オフライン |
| 対象年齢 | 15歳~ |
| ジャンル | マーダーミステリー |
| 発売時期 | 2022/6/17 |
| デザイナー | 江神原業一郎 |
| サイズ | 11 x 15 x 4 cm |
| 版元 | EJIN研究所 |
『西洋鎧の鳴る館』は、EJIN研究所から発売されているマダミスで、名家の当主が後継者候補3名から跡取りを決め、その名を遺言書にしたためた翌日に謎の死を遂げるミステリーです。
オンライン・オフラインのどちらでも遊べるシナリオで、GMなしでプレイすることができます。
また、本シナリオは『コロナーの落ち着いた地で』と2シナリオがセットになっており、ひとつのパッケージで2タイトル楽しめるお得なマダミスになっています◎
あらすじ

20世紀初頭、骨董と血の真贋を問う――これは名家で起こった悲劇の物語である。
美術品や嗜好品の輸入業で巨万の富を築いた結生家。
だが、ある日突然の交通事故で、当主を除く家族3名が命を落としてしまう。
孤独の中、老いた当主は決意する。「自らの目で、遺産を託すに足る後継者を選ぼう」と。
集められたのは、血縁に連なる3名の後継者候補。
試されたのは一つの骨董――壺の真贋であった。
三者三様の見解を聞いた当主は、夜のうちに遺言書を改めるべく自室へと戻り、候補者たちもそれぞれの客間へと姿を消した。
しかしその翌朝、当主は変わり果てた姿で発見された。
その寝室と候補者たちの部屋はいずれも同じ階にあり、そこへ至る階段には重厚な西洋鎧が飾られていた。
一歩上がるごとに響く金属音——。
静寂の中でそれが鳴らなかったことが、「容疑者はこの階の住人=後継者候補の3人の中にいる」という決定的な証拠となった。
欲望と血筋、そして見えざる動機が交錯する、屋敷の中の密室ミステリーが始まった——。
登場人物紹介
この物語の主な登場人物5名について紹介します。
結生家 当主(84歳/男性)

- 事件の被害者
- 美術品や嗜好品の輸入で財を成した結生家の当主
- 息子と孫を一度に失ったことは相当に堪えた様子
香布院 光陽(31歳/男性)

- 政略結婚の末裔
- 紅茶やコーヒーなどを扱う輸入会社・香布院家の嫡男(長男)
- 才にも財にも恵まれ何不自由なく育ち周囲を見下している節がある
- 好きな紅茶はアールグレイ
米家 華乃子(27歳/女性)

- 婚外子で女子校の美術教師
- 当主と愛人だった母親の間に生まれた子
- 柔らかな物腰で眼鏡が似合うが少し掴み所がない女性
- 骨董品のこととなると目の色が変わる
久慈 太空(19歳/男性)

- 遠縁のフリーター
- デリバリーサービス”奪い通(うばいつ)”の配達員
- 小柄で細身だが筋肉質
- 孤児として施設で育った為か常に周囲に気を使いおどおど・へらへらしている
樫辻 鳩郎(60歳/男性)

- 結生家に10年以上仕えている住み込みの執事
- 当主の日常生活をサポートすると同時に館の管理や使用人の手配等も行っている
- 物静かだが常ににこやかで機敏な所作は年齢を感じさせない
- 老眼の進行が最近の悩み
遊び方/ルール
- セットアップ
- 舞台設定カード読み上げ
- 担当キャラクターの決定
- 自己紹介
- 読み合わせ
- 設定の読み込み(15分)
- 事件発生
- 調査シーン(90分)
- 推理シーン
- 得点計算
本シナリオは、「調査シーン」にて推理の手がかりとなるカードの情報を入手・共有・相談し、「推理シーン」で各自推理を披露して投票で犯人を決めるシナリオです。
特定のプレイヤー同士で秘密裏に会話する”密談”はなく、調査シーンでの話し合いは必ず全員で行います。
また、オフライン・オンラインいずれの場合もWebページの情報を参照する場面が出てくるので、遊ぶ際にはインターネットに接続できる環境下でプレイしましょう。
パッケージ内容物「【アンカーミステリー01】共通マニュアル」の表紙にプレイ用のURLが記載されていますので、実際にプレイする際はそちらをご確認ください。
セットアップ
オフラインでプレイする場合、「【アンカーミステリー01】共通マニュアル」を基に下図のようにカードを配置します。

オンラインでプレイする場合、ゲーム購入者はオフラインと同様に各種カードを手元に並べながらプレイし、それ以外のプレイヤーはHPのリンクを基にプレイします。誰がどのカードを獲得したのかを管理しながら、ゲームを進めましょう。
舞台設定カード読み上げ
オンラインプレイ・オフラインプレイともに、舞台設定カードの内容(QR先)をゲーム購入者が代表して読み上げます。
担当キャラクターの決定
「登場人物設定」を全員分確認し、配役を決定します。
※プレイヤーが3人の場合、選択できるキャラクターに制限があります。詳細はマニュアルをご確認ください。
自己紹介
「登場人物設定」の”基本設定”を基に、担当する登場人物のセリフを各担当プレイヤーが順に読み上げます。
このとき、登場人物になりきってキャラクターの自己紹介を行いましょう。
読み合わせ
登場人物の把握と物語背景の理解のため、簡単な読みあわせを行います。
設定の読み込み(15分)
各自担当する登場人物の「裏設定」を15分程度で読み込みます。
ここには、各キャラクターの秘密や行動目標などが記載されています。(誰が犯人か、アリバイ、他人に知られたくない情報など)
情報の取り扱いには十分に注意しましょう。
事件発生
先述の「読み合わせ」フェイズと同様に、各担当キャラクターのセリフを順に読み合わせていきます。
調査シーン(90分)
「調査シーン」では、制限時間90分の間で、情報(カード)の取得と全体議論を繰り返すフェイズです。
時間切れ、もしくは山札の残りのカードが合計5枚になった時点で、カードを獲得している最中でも即座に「調査シーン」は終了となります。
ここでは主にオフラインプレイ時のルールについて、ご紹介します。
- 「Next宣言カード」をもつプレイヤー(要はスタートプレイヤー)から時計回りの順にカードを獲得
※「Next宣言カード」はゲーム開始時にはゲーム購入者がもっているものとする - 任意の”場所”の山札から一番上のカード(No.が小さい順)を1枚取得
※自分の部屋や所持品などのカードも取得可能 - 全員がカードを獲得したら、それぞれ取得したQR先の情報を読み込む
- 全員が情報を確認したら、「Next宣言カード」を持つ人から順に入手した情報を全員に口頭で共有
※共有方法についての詳細は後述で説明 - 全プレイヤーが情報を伝えたら「Next宣言」が行われるまで全員で議論する
※Next宣言についての詳細は後述で説明

- 取得したカードの「証拠名」を正確に読み上げる(証拠名について嘘をつくのはNG)
- 続いてQR先のテキストを読み上げる(情報の内容については嘘をついてもOK)
※情報の内容を伝える際には書いてあるまま読み上げず、キャラクターになりきって自分の言葉で伝えましょう。
その他ルールについては、下記の通りです。
- Next宣言:
いま「Next宣言カード」を所持していないいずれかのプレイヤーが「Next!」と宣言すると「Next宣言カード」が宣言者に渡り”情報(カード)の獲得”に戻る。(誰かがNext宣言するまで議論は続く) - Talking About:
誰かが”Talking About”と記載されたカードを引いた場合、10分間の強制議論タイムが発生し、全員10分経過するまで次のカードを引けなくなる。
推理シーン
「推理シーン」では、これまで得た情報を整理して各自の推理を披露して投票で犯人を決めるクライマックスです。
推理シーンの手順は、以下の通りです。
- 自由時間(10分)
- 洞察
- 推理披露(各3分)
- 投票
- エンディング
上記、各フェイズの詳細についてご説明します。
自由時間(10分)
「調査シーン」で引いた証拠カードの情報を再度見直したり、考えを整理したり、プレイヤー同士で自由に話し合いを行います。
洞察
自由時間の後、「Next宣言カード」をもつプレイヤーから順に他のプレイヤーが取得している証拠カードのうち、いずれか1枚を指定して内容を確認できます。
この段階では、洞察で読み込んだ内容について共有や話し合いをしてはいけません。
推理披露(各3分)
「Next宣言カード」をもつプレイヤーから順に、持ち時間3分の推理披露を行います。
推理披露中に他のプレイヤーは発言したり、質問をしたりしてはいけません。発言者の話を聴くのみです。
ここでは推理を披露しても、「洞察」で入手した情報を共有しても、犯人を予想しても、自らの潔白を訴えても、何を話してもOKです。
投票
誰が事件の真犯人なのか、投票で決定します。
オフラインプレイの場合は登場人物カードに指さし、オフラインプレイの場合は同時にチャットに書き込むなどにより、1人1票の投票を行います。
最多票を集めたキャラクターが今回の事件の犯人ということで、その場の話はまとまります。
票が割れて最多票が出なかった場合、”票が割れた”という形でエンディング分岐となります。
エンディング
投票が終わったら、全員で「真相カード」QR先を確認します。
投票結果に応じたエンディングを、指定された担当キャラクターのプレイヤーが読み上げます。
得点計算
順番に個々に課せられた目標(得点と獲得条件)について読み上げ、その点数と目的達成or未達を発表していきます。
最も勝利点が多かったプレイヤーの勝利!ですが、物語を楽しんだ人が優勝です◎笑
評価と感想
わたしが本シナリオを遊んだときの条件は、下記の通りです。
評価
3PL可能でありながら王道のミステリー!重厚な時間を味わえるお得なパッケージマダミス!!
| 推理難易度 | ロールプレイの楽しさ | 世界観没入度 | 感情揺さぶられ度 |
| ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐☆☆ |
本作は「調査」と「議論」が一体化されたスタイルが特徴で、時間の使い方がカギを握るマダミスです。
読み合わせパートが複数設けられているため、自然とキャラクターに感情移入しやすく、プレイヤーとしても深く物語に没入できます。
単なる推理ゲームにとどまらず、「物語を演じる体験」としてのマダミスがしっかり楽しめる構成が魅力的でした。
そして特筆すべきは、1パッケージで2タイトル遊べるという圧倒的なコストパフォーマンス!
制作コストを抑える工夫がされているとのことですが、体験としての満足度には一切影響なく、むしろ「この値段で2シナリオは贅沢すぎでは!?」と感じるほど。非常にお得感のあるセットです。
一点注意を挙げるとすれば、ルールブックがやや読みにくく、ルール理解に時間がかかる可能性がある点。完全初心者だけで遊ぶと戸惑う場面があるかもしれません。
3PL対応の作品としてはかなりの完成度。物語性と推理要素のバランスが取れた、良質なマーダーミステリーです!
難易度
難易度は「やや難しめ」です。
ルールはやや複雑め。マダミスにある程度慣れたプレイヤーが数人いると安心して楽しめるタイプのシナリオです。
キャラクター設定のテキスト量は、過不足なくちょうどいい塩梅。読みやすさと没入感のバランスが取れた構成でした。
時間設定がシビアで、情報カードの獲得や整理に集中しすぎると議論が手薄に、反対に会話に夢中になっていると肝心な情報が集めきれない——、そんなジレンマに頭を悩ませる、程よい緊張感が魅力でもあります。
感想
3PLでも4PLでもOK!笑ってのめり込める、満足度高めのフルボリューム・マダミス!!
『月落としの木霊』で印象的だったEJIN研究所のマダミス。わたしの中で信頼度が高いブランドなのですが、今回もその期待を裏切らない、見事に楽しいシナリオでした!
3人でも4人でも遊べる構成になっているのが嬉しいポイント◎
今回は3人でプレイしましたが、クスクス笑いながら、時には熱を帯びたロールプレイにのめり込みながら、3時間以上じっくり卓を囲めたことが本当に楽しかったです。
その中には初めてマダミスを体験する方もいたのですが、「楽しかった!」と言ってくれて、わたしもとてもハッピー。
こうやって少しずつマダミス人口が増えていくのを見るのって、やっぱり嬉しいですね。
そして忘れてはいけないのが、製作者・江神原業一郎さんのユーモアセンス!笑
登場キャラクターの名前の由来に関するコメントがちょこちょこ挟まれていて、思わず笑ってしまう場面もありました。
シリアスな展開とのギャップも含めて、作品全体を味わう楽しさが詰まっていました。
ストーリーも推理要素も満足度高し。EJIN研究所のセンスが光る本作、ぜひ多くの人に通過してもらいたい一作です◎
まとめ
今回は、EJIN研究所によるパッケージ型マーダーミステリー『西洋鎧の鳴る館』についてレビューしました。
3PLでも4PLでも、そしてオンラインでもオフラインでも楽しめる、濃厚な王道ミステリー作品でした!
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