
潜入任務とテロの影――!
工作員と公安が挑むハードボイルドなマーダーミステリー!!
今回はグループSNE×cosaicのマーダーミステリーミニシリーズより、『カナリアは歌わない』についてネタバレなしでレビューしていきます!
このマダミスのあらすじや遊び方、登場キャラクター、感想・評価までご紹介します。いま本作が気になっているあなたの参考になれば嬉しいです!
シナリオ概要
| プレイ人数 | 4人(GM不要) |
| プレイ時間 | 90分 |
| プレイ環境 | オフライン |
| 対象年齢 | 15歳~ |
| ジャンル | マーダーミステリー |
| 発売時期 | 2022/4/23 |
| デザイナー | 川人忠明 |
| サイズ | 16 x 11 x 3 cm |
| 版元 | グループSNE/cosaic |
『カナリアは歌わない』は、グループSNE×cosaicのMurder Mystery Miniシリーズの中のひとつで、テロの実行計画とテロ組織に潜入していたCIA工作員の死の謎を解明するハードボイルドなシナリオです。
テロ組織を内偵するCIA潜入捜査員”カナリア”死亡の真相追及と、テロ計画阻止に向けてCIA工作員と公安警察官それぞれの思惑が交錯するシナリオです。
オフラインプレイかつGMなしでプレイすることができます!
あらすじ

港町・横浜を見下ろすホテル「ニャオウー(鳥巣)」で、ひとりの女性が転落死を遂げる。
彼女の名は“カナリア(金糸雀)”――凶悪テロ組織<解放旗戦線>に潜入していたCIAの工作員だった。
死の前日、彼女はCIAに「横浜での大規模テロが近い」と警告を残していたが、その直後に命を落とした。
組織に正体を見破られ、口封じとして命を奪われたのか?
あるいは、彼女の死には別の真相が隠されているのか?
12年前に200人以上の犠牲を出した横浜駅爆破テロ――犯行当日を“栄光の日”と呼ぶ<解放旗戦線>が、再び動き出そうとしている。
そんな中、CIAと公安警察が手を組み、再び横浜に訪れた恐怖の連鎖を断ち切るべく動き出す。
国家の命運を握る潜入捜査、交錯する正義と疑念。
テロを止めるため、あなたは何を信じ、誰と手を組むのか――?
登場人物紹介
テロ計画を阻止すべく、立ち上がった捜査チーム4人をご紹介します。
コードネーム:スワン(白鳥)(27歳/女性)

- 公安警察のキャリア(階級は警視)
- 公安警察幹部の娘で才色兼備・文武両道の才媛
- テロを憎み<解放旗戦線>を追い続けている
コードネーム:アウル(梟)(48歳/男性)

- 公安警察のたたき上げ(階級は警部)
- くたびれた風貌の初老の男で離婚経験がある
- かつては”カミソリ”と呼ばれる切れ者だったが今では昼行燈
コードネーム:ファルコン(はやぶさ)(20代半ば/男性)

- 3か月前にCIA工作員になったばかりの新人
- 元海兵隊員で工作員としては今回が初めての任務
- 日本語や英語のほか多言語を話すことができる
コードネーム:アルバトロス(アホウドリ)(50代半ば/男性)

- CIAの工作員として30年近くのキャリアをもつベテラン
- 独自の人脈による情報網を築き上げている
- かつて日本に居住していた経験があるため流暢に日本語を話す
遊び方/ルール
- ゲームの準備
- 担当キャラクターの決定
- 設定書の読み込み(10分)
- 最初の捜査会議(5分)
- ラウンド(調査フェイズ3分+捜査会議フェイズ10分)×4~5回
- 告発フェイズ(4分)
- 推理フェイズ(5分)
- エンディングフェイズ(15分)
本作品は、「調査フェイズ」と「捜査会議フェイズ」から成る「ラウンド」を4~5回繰り返し行うことで推理を進め、事件解決を目指すマダミスです。
本作では、限られたプレイヤーだけで会話する内緒話”密談”は行わないため、密談用のスペースを確保する必要はありません。
詳しいルールについては、後述でご説明しましょう。
ゲームの準備
ゲームを始める前に、テーブルにマップシートを広げて調査カード/情報カード/特別な場所カード/極秘カード/秘密カードを下図のように配置します。
※持ち物カードは担当キャラクターが決定してから各担当プレイヤーに配布

テーブルセッティングが完了したら、「ルールブック」にある物語の「導入」を代表プレイヤーが読み上げます。
担当キャラクターの決定(2分)
「導入」を読み上げたら、1人ずつ担当キャラクターを決定します。
キャラクターが決まったら、各プレイヤーは対応する「設定書」と「持ち物カード」を受け取ります。
設定書の読み込み(10分)
各プレイヤーは、自分の「設定書」と「持ち物カード」を黙読します。
各キャラクターのみが知る秘密の情報を他のプレイヤーに知られてしまうと、自身の目的達成の妨げになるため、他のプレイヤーに設定書を見せてはいけません。
10分程度が目安ですが、もう少しかかりそうなら延ばしても良いですし、全員が早く済ませられたら早めに切り上げてもOKです。
最初の捜査会議(5分)
このフェイズでは、「設定書」表紙の公開情報を読み上げ、キャラクターたちの自己紹介を行います。
その後、今回の事件について知っている情報を交換し、捜査方針を話し合いましょう。
最初の捜査会議が終わると、いよいよ本編スタートです!
調査フェイズ(各3分)
このフェイズでは、各キャラクターが場にあるカードを2枚ずつ調査します。
調査できるのは、「情報カード」、「極秘資料カード」、「特別な場所カード」、「秘密カード」です。
調査したカードは獲得して手元に置き、いつでもその内容を確認できます。
カードが山になっている場合、その中から裏面を見て好きなカードを調査することができます。
調査についての詳細なルールは下記の通りです。
- 同じカードの山から2枚獲得してもOK
- 極秘資料カードは、1回の調査フェイズで1人につき1枚しか調査することができない
- 自分の名前が書かれた「極秘資料カード」は獲得不可
- 「特別な場所カード」「秘密カード」を調査するために特定のカードを入手するなど条件があるため注意
- 「~を調査できるようになります」と記載されていた場合、指定のカードを「調査フェイズ」で調査することが可能
※カードの調査は調査枚数2枚の制限に含まれる - 「~を即座に入手します」と記載されている場合、指定のカードを即座に入手できる
※カードの獲得は調査枚数2枚の制限に含まれない - 「~を調査できるようになります」「~を即座に入手します」が記載されているカードが全体公開されている場合、誰でも指定のカードを調査・入手することができる
- もし1枚のカードに2つ以上の”☞”マークが描かれている場合、どちらも実行可能
捜査会議フェイズ(各10分)
このフェイズでは、まず調査報告を行い、その後で全体議論を行います。
調査報告では、各自が直前の「調査フェイズ」で獲得したカードのうち1枚を選び、一斉に公開します。
それ以外のカードは依然として裏向きで手持ちとして持ち、以後の「調査報告」でも公開することはできません。
ただし、「捜査会議中ならいつでも公開できます」と記載されているカードについては、「捜査会議フェイズ」中ならいつでも公開できます。
以降のラウンドの「捜査会議フェイズ」で公開しても構いません。
調査報告が終了したら、調査した内容を他のキャラクターと共有し、次に調査したい場所や事件の真相について話し合いましょう。
4回目のラウンド終了後、「告発フェイズ」に進みます。
しかし、2人以上が賛成すれば、5ラウンド目の「調査フェイズ」と「捜査会議フェイズ」を行うことができます。
告発フェイズ(4分)
各自が1分間ずつの持ち時間で「”カナリア”の死の真相」について、自分の推理を述べていきます。
推理フェイズ(5分)
「質問票」を箱から4枚取り出し、各キャラクター名が書かれた質問票を担当プレイヤーが受け取ります。
このとき、担当キャラクター以外の「質問票」の内容を見ないように気を付けましょう。
担当キャラクターの「質問票」を開き、他の人に見られないよう質問に回答していきます。
テーブル上に公開されたカードや手札のカードを確認しても構いませんが、口に出して相談してはいけません。

エンディングフェイズ(15分)
全員が質問票への記入を終えたら、エンディングブックを読み進めます。
エンディングでは、「事件の真相」についての全員の意見をまとめ、テロの阻止に成功したか否か、各自の個人目的の達成・未達成などを物語に沿って解決していきます。
途中、各自の「質問票」の回答について問われる場合があるので、全員の回答を参照して正しい選択肢に進みます。
それぞれの目的の達成度合いでこの先待ち受ける運命が変化します。
最終的にもっとも高い得点を獲得したキャラクターは、少しだけ幸せになれるかもしれません。笑
評価と感想
わたしが本作を遊んだときの条件は、以下の通りです。
評価
“捜査のプロ”視点で挑む非日常!横浜全域を舞台にしたスケール感ある体験◎
| 推理難易度 | ロールプレイの楽しさ | 世界観没入度 | 感情揺さぶられ度 |
| ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐☆☆ | ⭐⭐⭐⭐☆ | ⭐⭐⭐☆☆ |
本作の魅力は、なんといっても「全員が捜査のプロフェッショナル」であること、そして「調査範囲の広さ」にあります。
プレイヤーが担うのは、CIA工作員と公安警察官というエリート捜査官たち。
個人の感情や人間関係よりも、「いかにして事件を防ぐか」「どんな情報が国家の危機に繋がるのか」といった視点で物語に没入できるのが本作の醍醐味です。
また、調査の舞台も横浜市内全域とスケールが大きく、現場検証だけで完結しないダイナミックな捜査の流れが新鮮!
都市全体をフィールドにした捜査は、館モノやキャンプ場などの限定空間で展開されがちなマダミスとは一線を画す臨場感があります。
プレイ人数は4人とコンパクトながら、役職の関係性や任務の重さもあって没入度は非常に高いです。
短時間で濃厚な体験ができるため、「警察・諜報もの」が好きなあなたや、王道とはひと味違うマダミスを遊びたいあなたにはぜひ手に取ってほしいパッケージです。
難易度
難易度は「普通~やや難しめ」です。
キャラクター設定書の全体ボリュームは、同シリーズ内ではちょっぴり多めです。
しかし、設定書内の情報は全キャラクター共通の情報が多く、自分1人で抱える秘密はそれほど多くないため、ロールプレイのプレッシャーをあまり背負うことなくプレイできるかと思います。
ルールについてもわかりやすく記載されているため、初心者の方でもGMレスでプレイ可能だと思います。
感想
純度100%の緊迫感!限られた時間に詰め込まれた、濃密でシリアスなミステリー◎
本作は、テロ計画の発生が目前に迫るという状況下で進行する、ハードボイルドなマーダーミステリー。
潜入中に命を落としたCIA工作員”カナリア”の死の真相と、横浜で再び起ころうとしている大規模テロの全貌を、限られた情報と時間の中で読み解いていきます。
特に印象的だったのは、「時間がない」という演出がルールにも巧みに組み込まれている点。
議論時間が意図的に短めに設定されており、まさにテロ発生までのカウントダウンを肌で感じながらの推理体験となります。
焦燥感と緊迫感がリアルで、思考が止まらない90分でした。
調査のボリュームも多く、なかなかの難易度。
でもそれが逆に、物語の深みや複雑な構造を物語っていて、「この結論で本当に正解なのか?」と疑心暗鬼になりながら進める感じがとてもスリリングでした。
エンタメ性というより、リアルな捜査や緊張感を重視したい人に刺さるシナリオ。
シリアス全振りな作品を探しているあなたに、全力でおすすめしたいシナリオです!
まとめ
今回はパッケージ型マーダーミステリー『カナリアは歌わない』についてレビューしました。
すぐそばまで迫るテロの脅威と、テロ組織を内偵していたCIA工作員の死の謎が絡むハードボイルドなマダミスでした。
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